原点
ナルグリーンのホームページを見てくれているという事は家具の購入を考えているまでいかなくても何らかの興味があって見付けてもらえたのではないかと思います。
いろいろな情報があるなか、このコラムを読んでもらっている事にまずは感謝したいと思います。
4月は新生活がスタートするという方も多いと思いますが僕はどんなんだったかな?
皆さんも新鮮に思い出せるエピソードがいくつかはあるのではないでしょうか。
記念すべき一回目のコラムは僕の原点というか家具業界に入ってからのあれこれを自分の為にも振り返ってみようと思います。
昔から器用やったんですか?とか図工は得意でしたか?とかよく聞かれます。
器用な方ではあると思いますが要領は悪くどんくさい事を自負しています。
勉強は嫌いだけど図工や体育は好きというありがちな少年、ただ運は良くて高校3年の夏に進学したいと思った芸大にも奇跡的に受かり舞台デザインを学びました。舞台のデザインをする過程でシチュエーションに合った家具を調べたりするうちに家具職人になりたいと思い始め、岐阜県飛騨高山の柏木工に運よく就職したのが木工人生の始まりです。
大きな会社なので同年代の人も多く、同期や先輩にもとても恵まれて仕事内容も流れ作業ではありましたが木工機械をたくさん使わないといけない配置につかせてもらい付いていくのに必死、ここで要領の悪さを本領発揮で課長に怒鳴られまくりで毎晩夢にまで出てきたKさんの怒った顔を今でも覚えています。
やっと全体の流れもつかめ仕事もある程度できるようになって来たころに心にモヤッとした何かが芽生え始めたのですがそれが何かわからないまま必死に毎日を過ごしていました。
柏木工は年に1回クラフト展のために仕事外で機械を使わせてもらえる期間があり、僕は甥っ子のために子供用の机と椅子を作ることにしたのですが、それがもう作っているときのワクワクが仕事の時とは大きく違って、角は丸くした方がいいなぁとか頭に甥っ子を思い浮かべながらの製作は特別な時間でした。
その時にモヤッとしていた気持ちが何なのかはっきりしました。
僕は製品を作ることが好きなのではなく、その人のために作るのが好きという事に気づきました。
毎日の業務も確かに楽しいし遣り甲斐もありましたが、受注生産とはいえどんな人が使うのかは全く分からず作るときのモチベーションは品質の向上といかにスムーズに流れを作るという事です。
それが大きく違いました。
現在ではナルグリーンとして独立し仕事の依頼を頂けていますが、一番大事にしている事があります。
それはご依頼を頂く方に会ってお話を聞くという事です。
それがないと製作する気持ちが入らないし楽しくありません。
お話を聞いて何でその家具が必要なのか、現状にストレスを感じている事は何かを聞いて解決できる家具を提案して喜んでもらうのが僕のモチベーションでありナルグリーンの目的です。
実は甥っ子のために製作していましたが、当時は結婚の予定もないのに未来の我が子のために2セット多く作っていて実際に自分の子供たちにプレゼントすることが出来ました。
もう子供たちも中学生と小学生になり出番があまりないので山小屋ショールームに持ってきています。
子供たちが貼ったシールを剝がしメンテナンスをしながらいろいろな事を思い出しました。
次に妄想しているのは子供たちにもし子供が生まれたら再びプレゼントすること。
皆さんにも代々受け継いでいきたいと思ってもらえるような家具を作っていきたいと思っています。
最初に作ったものが今となっては仕事の原点だと改めて気づかせてくれました。
これからも大切な机と椅子です。